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TMJ-focused
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顎関節を考慮した治療

歯並びを主な悩みとして来院される患者さんの多くに、咬み合わせや顎の位置の問題(不正咬合)が見られます。不正咬合は歯列の乱れを引き起こしやすく、歯並びの問題そのものの原因になっていることも少なくありません。顎のズレがある状態では、見た目は整っていても機能的に不安定な咬み合わせとなることがあり、長期的には後戻りや奥歯の摩耗・破折などのリスクにつながる場合があります。
こうした咬み合わせや顎の位置の問題は、歯並びだけでなく、顎関節にも大きな影響を及ぼします。そのため当院では、「歯を並べること」だけでなく、咬合や顎位まで含めて診ることを重視しています。

Many patients who visit us for crooked teeth also have underlying bite and jaw alignment problems (malocclusion). Malocclusion often contributes to misalignment and can be the root cause of irregular teeth. Even if teeth appear straight, an unstable jaw position can create functional issues, increasing the risk of relapse, molar wear, or fractures over time.
Bite and jaw discrepancies also significantly affect the temporomandibular joints. For this reason, we focus not only on aligning teeth, but on evaluating and treating the bite and jaw position as well.

顎関節と顎位の関係

顎は、耳の前にある顎関節によって動いています。
下顎頭(下あごの関節部分)と頭蓋骨の間には、関節円板というクッションの役割をする組織があり、この関節円板が正しい位置にあることで、顎はスムーズに動き、正常に機能します。
しかし、成長期に頬杖や偏った寝方などによる力が繰り返し加わると、関節円板の位置にズレが生じ、顎の位置(顎位)が本来あるべき位置とは異なった状態で咬むようになることがあります。

成長期に顎位がずれたまま過ごす怖さ

成長期に顎位がずれたまま過ごしていると、下顎が正常に成長せず、過蓋咬合・反対咬合・顎偏位・開咬といった不正咬合につながることがあります。
その結果として、以下のようなさまざまな症状が現れる可能性があり、悪化すると外科手術が必要になるケースもあります。

症状

  • 出っ歯や歯並びの乱れ
  • 顔の左右差や歪み
  • 咬筋の過緊張によるエラの張り
  • 顎がカクカク鳴る、引っかかる、口が開けにくい、痛みが出るといった顎関節症の症状

これらのリスクを防ぐためには、成長期からの治療アプローチが重要です。早期に治療介入することで、健やかな顎の成長をサポートすることが可能になります。

成人の場合でも意味のある顎位治療

すでに成長を終えた成人の方であっても、顎の位置や咬み合わせを整えることで、顎関節への負担を軽減し、痛みや違和感、動かしにくさといった症状の緩和を目指すことが可能です。また、矯正後の後戻りや歯の破折といったリスクを抑える観点からも、顎関節を考慮した治療が大切であると考えています。

顎関節の「音」や「引っかかり」が起こる理由

顎関節で「カクカク音が鳴る」「引っかかる感じがする」といった症状は、関節円板が本来の位置からずれていることによって起こるケースが多く見られます。
関節円板は顎の動きをなめらかにする役割を担っており、そのズレが、音や違和感として自覚されます。一方で、音が鳴らないからといって、必ずしも状態が良いとは限りません。
関節円板のズレが進行すると、逆に音すら鳴らなくなる状態になることもあり、その場合、口が開けにくい、顎が痛む、動かしにくいといったより強い症状が現れることがあります。
このように、顎関節の状態は音の有無だけでは正確に判断することができません。

MRIを用いた顎関節まで含めた診断

レントゲンやCTでは、顎の骨の形や位置は確認できますが、柔らかい組織である関節円板の位置や状態までは分かりません。「顎の音が鳴らないから問題ない」と思っていても、MRIで確認すると関節円板の位置に異常が認められることもあります。そのため当院では、必要に応じてMRIを用い、関節円板を含めた顎関節の内部構造まで評価します。
顎関節・顎位・咬み合わせの関係を正確に把握することで、顎関節に負担がかかっている本当の原因を見極め、より適切な治療方針を立てることが可能になります。

顎位を整えないままで問題が繰り返される理由

顎位がずれたままの状態では、咬む力のバランスが崩れ、一部の歯に過度な負担が集中しやすくなります。
その結果、以下のトラブルが起こりやすくなります。

考えられるトラブル

  • 矯正治療後に歯並びが再び乱れる
  • 特定の歯がすり減る、欠ける
  • 奥歯の詰め物や被せ物などが割れる・外れる

歯並びの見た目だけを整えても、顎位という土台がずれたままでは、長期的な安定は得られません。

顎位を整え、正しく咬める状態に ― 機能の改善と、見た目の変化の両立を目指して ―

顎位を整えることで、顎関節や筋肉にかかっていた過度な負担が軽減され、口の開けづらさや痛み、違和感といった症状の改善が期待できます。 とくに成長期の子どもの場合、たとえ痛みなどの自覚症状がなくても、不正咬合が見られれば早期に治療介入し適切にアプローチすることで、顎の健やかな発育を促し、将来的な不調やリスクを予防しやすくなるという大きなメリットがあります。

また、顎位や咬み合わせが整うことで、機能面だけでなく見た目に変化が現れることもあります。
たとえば、過度に緊張していた咬筋がゆるむことで頬の張りが軽減され、フェイスラインがすっきりしたり、後方に位置していた下顎が前方に誘導されることで、Eライン(横顔のバランス)が整うケースもあります。
さらに、顎偏位が関与していた場合には、顔の左右差や歪みが軽減されることも期待できます。
(※外科手術が必要と判断されるほど重度の顎偏位を除きます。こうした状態に至らせないためにも、成長期からのアプローチが重要です。)

顎の位置が変わると、基本的には咬み合わせも変化します。
そのため当院では、正しい顎位で無理なく咬める状態をつくるために、必要に応じて矯正治療に加え、被せ物や詰め物などを用いた咬み合わせの再構成を行います。
顎関節・顎位・咬み合わせを一体として捉え、年齢にかかわらず、長期的に安定し、機能と見た目の両立が図れる状態を目指すことが、当院の顎関節症治療の考え方です。

顎関節症治療についての注意事項

  • 顎関節症治療には、症状の改善に個人差があります。
  • 治療の過程で、一時的に咬み合わせの違和感や痛みを感じる場合があります。
  • 顎位の変化に伴い、矯正治療や補綴治療などによる咬合調整が必要となる場合があります。
  • 症状や顎関節の状態によっては、外科的治療が適応となるケースもあります。
  • すべての症状が完全に消失することを保証するものではありません。